お隣さんからニンジンを頂いた。奥さんの実家の畑で獲れたそうだ。でっかい。女房殿が「新しい品種?」と訊いていた。ただ単に獲り残して大きくなっただけらしい。それにしても大きい。身に空洞はないらしい。味は分からん。お隣さんは親切で優しい。
お隣さんは、今春3月いっぱいで生まれ故郷に家族で引っ越すそうだ。ご主人は、高校教師。3人の幼子がいる。高校教員職を若くして退職。新しい職は決まっているらしい。教員職は安定しているだろうにと思うけど、それ以上に大切なものがあるのだろう。勤務も毎朝 早かったし、土日も運動部の部活でマイクロバスなど運転してよく出られていた。忙しいようだった。家族の時間を大切にしたいような話だった。人生いろいろ。思いいろいろ。孔子さんは「四十にして迷わず」と云われた。でも何歳になっても迷うものだ。お隣さんも迷ったあげくの結論だろう。
「この道を行けばどうなるものか 危ぶむなかれ 危ぶめば道はなし 踏み出せばその一足が道となり その一足が道となる 迷わず行けよ 行けばわかるさ」(アントニオ猪木)
昔、私たち家族も、40歳を過ぎて縁もゆかりもない、知人縁者もいない 檀家さんもいない、無い無い尽くしの岡山の山寺に行った。前途があったわけではない。冒険だった。だが振り返れば、そこには 歩んで来た道が出来ている。後悔はない。よき人達に逢え、幸せな経験をした。むしろ感謝している。女房殿が振り返って云う、「どうにもならないと思えることでも、どうにかなるものね」。
「神仏のご加護を!」。お隣さんの前途を祈った。こころは、今日も大吉!
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